この記事は、キーボード #2 Advent Calendar 2023の21日目の記事です。
前回は五月雨さんの2023の設計まとめと名付けの話でした。
ご自身で設計されたキーボードの紹介記事ですが、それぞれに可愛い名前を付けられていて愛着を感じました。
はじめに
先月BAROCCO MD600v3 RGB(以下、MD600v3)という分割キーボードを買ったので、製品の紹介や、1ヶ月使ってみての感想を書いていきます。
(アドベントカレンダーに参加している他の方々が皆さん自作キーボードの話をしていて、若干の場違い感を感じていますが、強い心で既製品の話をしていきます。)
分割キーボードのメリット
分割キーボードは一体型のキーボードと比べてタイピング時に無理のない体勢でタイピングすることができます。
MD600v3の製品ページには以下のような説明がありました。
キーボード自体が左右に分離できるので、肩や腕を広げた自然なフォームでのタイピングを可能にします。通常のキーボードだと両手が近づくため、どうしても肩や腕が内側に狭くなってしまいます。キーボードを離すことで、それぞれの肩の広さに合わせた位置にキーボードを設置し、自然な状態でのタイピングが可能です。
https://archisite.co.jp/products/mistel/md600v3-rgb/#block-2
私も以前から分割キーボードには興味を持っておりましたが、どの製品も価格が安くなく、なかなか手を出せずにいました。
安いキーボードを2つ買って並べて使っていたこともあるのですが、場所を取り邪魔なのでいつしかやめてしまっていました。
購入したキーボード
https://archisite.co.jp/products/mistel/md600v3-rgb/
こちら、販売元のサイトから拝借した商品写真です。
一体型のキーボードを真ん中で割ったような形になっており、左右をくっつければ一体型と同じように使うこともできます。
バックライトを七色に光らせることができてかっちょいいです。
購入の決め手
こちらの製品を選んだ決め手は、サイズのコンパクトさです。
世の中に出回っている分割キーボードの中にはサイズが大きいものも多いのですが、BAROCCOシリーズは比較的コンパクトなものが多く、特にMD600系は元々使っていたMagic Keyboardキーボードとサイズがほぼ変わりませんでした。
MD600系はいわゆる60%キーボード*1となっており、独立したファンクションキー(F1
~F12
)やカーソルキーがありません。
キーを組み合わせてそれらの操作を行う分、ホームポジションからの離脱が減り、生産性も上がるのでは、と考えました。
キースイッチについて
MD600v3ではCHERRY MXスイッチ*2を採用しており、茶軸・青軸・赤軸・静音赤軸の中から選んで購入することができます。
キースイッチの知識はなかったのですが、店頭で押し比べて赤軸を選びました。
キー荷重の軽い赤軸と静音赤軸で迷ったのですが、静音赤軸は打鍵感がソフトなせいか赤軸に比べて若干の重さを感じました。
パームレストについて
キーボードと一緒に、こちらの分割パームレストを購入しました。
FILCO Majestouch Wrist Rest "Macaron" 薄型12mm・Sサイズ・分離型(2分割)・Rainy
木製やプラスチック製はひんやりするかなと思い、ソフトタイプのものを選びました。
12mmの高さのものを買ったのですが、キーボードの高さを考えると17mmでも良かったかなと思っています。
他に迷った製品
購入に当たり、FILCO Majestouch Xacro M10SPという製品も候補として検討していました。
MD600v3を含む通常の分割キーボードのデメリットとして、一体型キーボードであればどちらの手でも押せる中央付近のキー(6
キー, Y
キー, B
キーなど)が、左右どちらかの手でしか押せなくなる点があります。
その点、M10SPであれば、中央にあるマクロキーにそれらを割り当てることで今までと同じ運指でタイピングできる点で魅力を感じ、候補に入れていました。
しかし最終的には、キー配置は慣れるだろうということで、価格の安さとサイズの小ささで、MD600v3を選びました。(M10SPのほうがマクロキーの分若干横幅が大きい)
実際、MD600v3を使い始めたらキー配置にはすぐに慣れました。
キー配置の調整
MD600v3を使用するに当たり、私は以下の2つを使ってキー配置の調整をしています。
MD600v3のマクロ機能
MD600v3のマクロ機能を使って、各キーに任意のキー操作を割り当てることができます。
例えば右スペースキーをFn
キーに割り当てるなどの変更を行っています。
なお、私は使っていませんが、1つのキーに複数のキー操作を割り当てることも可能なようです。
Karabiner-Elements
Karabiner-Elementsはキーボードの各キーの挙動を変更できるツールです。
単純なキーの置換ではない変更には、こちらを使用しています。
Karabinerにはいくつかプリセットの設定があり、例えば私は「シフトキーを単体で押したときに、英数・かなキーを送信(左が英数、右がかな)」という設定を入れています。
1ヶ月使ってみてよかった点
購入して1ヶ月程度経つので、気づいたことを書いていきます。
タイピング体験の向上
マクロ機能でカーソルキーやBackspace
キーなどをホームポジションで入力できるように調整したのですが、これがかなり作業効率が上がったと感じています。
特にブラウザ上などVimコマンドの使えない環境でのテキスト編集が快適になりました。
なお、「ファンクションキーがないと不便かなあ」と思っていたのですが、これは個人的にはむしろ逆で、Fn
キー+数字キーで入力するためホームポジションから離れることなくスムーズにファンクションキーを入力できています。
Fn
キーとの同時押し操作を結構頻繁にするのですが、前述のとおり右スペースキーの位置にFn
キーに割り当てているので、押しやすく便利です。
これはスペースキーが2つに分かれているからこそできることかもしれません。
姿勢の改善
キーボードの配置ですが、左右のキーボードを肩幅程度にひろげて置いて、その真ん中にトラックパッドを置いています*3
自然な姿勢でタイピングできるようになったおかげで、若干の肩のラクさを感じている……気がします。(正直、劇的な変化は感じてないです。笑)
Magic Keyboardからの乗り換えで苦労している点
現状、MD600v3自体への不満は現状特にないのですが、Magic Keyboardからの乗り換えという点でいくつか慣れない点があります。
MacBookでタイピングする時の違和感
Magic KeyboardはMacBookのキーボードとキーの間隔がほぼ同じですが、MD600v3はMacBookよりもキー同士の間隔が広いです。
最近MD600v3に慣れてきたせいで、たまにMacBookのキーボードを使うと違和感を感じるようになりました。
ソファに座って膝の上でMacBookを置いて作業することがたまにあるんですが、USBケーブルの位置のせいでいわゆる尊師スタイルも難しいので、いつもミスタッチに苦しみながらタイピングしています。
Touch IDがない
Magic KeyboardにはTouch IDがあり、これが地味に便利だったんですが、この恩恵を受けられなくなってしまいました。
失って初めて分かるありがたみ……。
有線接続である
Magic KeyboardはBluetooth接続だったのに対し、MD600v3は有線接続のため、多少デスク上の配線は増えました。
この点は購入前に少し気になってたんですが、キーボードからまっすぐデスクの奥方向にケーブルを伸ばし、デスクの裏を通ってPCまでケーブルを回すような配線にしたところ、見た目のごちゃつきはそこまでないです。
終わりに
当初は姿勢改善目的で興味を持った分割キーボードでしたが、どちらかというとキー配置が変わったことによるタイピングの効率化のほうにメリットを感じる結果になりました。
こういう効率を追い求めていった先に自作キーボードの沼が待っているんだろうか……?
何はともあれ、よいキーボードに出会うことができて満足しています。
購入に当たって相談に乗っていただいた、社内slackのキーボード部屋の皆さんにも感謝しています。
この記事はBAROCCO MD600v3 RGBを使用して執筆しました。
明日の記事はyymmさんです。
*1:キーボードについて調べる中で、キー数によって、○%キーボードという言い方をすることを知りました。https://ggjpn.com/mechanical-keyboard-size/
*2:メカニカルキーボードで広く使われているキースイッチのようです。 https://archisite.co.jp/pick-up/keyboard-switch/
*3:購入前に見たレビュー記事で、左右のキーボードを繋ぐUSBケーブルが短い、という意見を見て心配していましたが、肩幅程度に開くのであれば全く困っていません。